トリートメント
オイルトリートメントの効果
オイル・・・・ | 血 液 、体液の循環促進 | } | 相互に関連し効果を高める |
手技・・・・・ | 身体に触れる物理的な刺激 |
1.皮膚を潤し、皮脂腺の働きを高める
精油や、植物油の有効成分が、体に浸透するだけではなく各細胞まで届けられるので、もともと備わっている自分自身の力で潤いや弾力を高めていきます。また皮脂腺の働きも高めてくれるので、肌の色つやが良くなり、強壮にしてくれます。
2.血管やリンパ液の循環を良くする
アロマテラピートリートメントを行うと血液循環や老廃物や疲労物質を回収するリンパ液の流 れも促 進さ れ、老 廃物 が肝臓 や腎 臓に速 やか に届け られ るため 、身体の水分を排出させやすくします。また、リンパ液の流れが良くなることで免疫機能を持った白血球も活性化し免疫機能の向上につながります。利尿作用や発汗作用のある精油を使うことで、デトックス(解毒)が望めます。
3.新陳代謝
トリートメントを行なうと新鮮な血液や栄養素がそれにのって運ばれ、各細胞まで届けられ、
新陳代謝を促します。むく み や セ ル ラ イ トは リン パ 液 の 停 滞 が 原因 のひ と つ で す が
新陳代謝が高まると脂肪代謝、冷えも改善され、肥満予防につながります。
4.心に対して働きかける
皮膚は脳神経の終末器官であるため、心地よいタッチングは脳を介して心に働きかけます。心に働きかけることで各神経のバランス調整を行い、心を落ち着かせ、疲労感をとり除いてくれます。
5.筋肉・関節を柔軟にして、コリや痛みなどを緩和する。
適度な刺激のトリートメントのタッチングは、筋肉を柔軟にして強化します。筋肉が柔軟になると、関節の可動域も広がるので、けがの予防に役立ちます。また運動後に発生する、疲労物質(乳酸)の除去や痛みの軽減にも繋がります。
このオイルトリートメントの長所にアロマセラピーの精油の良さが加わったものが、アロマセラピーのオイルトリートメントです。
植物オイルにリラックス効果や、免疫を向上させる精油などを加えてトリートメントをします。生活の中に取り入れれば毎日健康に過ごすための手助けになります。
トリートメントの方向
私たちは、地球の引力の中で暮らしています。血液は心臓から出るときは勢いが良いのですが、心臓へは主に筋肉の収縮により戻ります。この筋肉の収縮作用が弱いと静脈血や毛細血管から染み出た組織液は引力によって、足のほうに溜まりやすくなります。アロマセラピーのオイルトリートメントは老廃物を肝臓や腎臓に送るため静脈血や老廃物を含んだ組織液を心臓に戻すことを目的としています。ですから、トリートメントをする方向も脚は足首から足の付け根に向かって、腕は手首から脇に向かうようにします。また、体幹部は重力や臓器の位置、骨格、リンパ節に合わせてトリートメントの方向を考えます。
オイルトリートメントするときの留意
- クライアントが寒くないように留意します。(室温、リネン類など)(暖かい部屋.トリートメントを行なわない部分はタオルなどで覆いましょう)
- クライアントが恥ずかしくないように気遣います。(着替えるとき、ベッド上でうつぶせから仰向けに変わるとき、またその逆になるとき)
- クライアントに触る手が冷たくならないようにしましょう。(手が冷えている場合はあたためてから行います)
- 精油はマニキュアを溶かすので、トリートメントするときは爪にマニキュアを塗らないようにしましょう (爪は短く切り、肌を傷つけないようにしましょう)お客様にも説明をしましょう
- 身だしなみを整えます。身だしなみは、相手への心遣いです。どんな人にも不快感を与えないよう髪型、服装、メイクなど留意します。
トリートメント中に起こるトラブルについて
施術の際、皮膚が赤く発疹することがあります。このような場合は速やかに濡れたタオルでふき取リ、洗い流しましょう。原因としては、毛細血管が拡張されて血行が良くなるために起こる場合やブレンドした精油や植物油に対してのアレルギーの場合もあります。
トラブルを未然に防ぐためアレルギーテストを行なってから施術を始めます。
準備するもの
- バスタオル
バスタオルはトリートメントオイルが床やベッドにつくのを防ぎます。
また、保温用にバスタオルを余分に準備しておき、必要なときに肩や脚にかけましょう。 - トリートメントをしやすい服装
トリートメントをする部位を大きく露出できるようラップガウンがおすすめです。 - ホットタオル
トリートメントの後のふき取りに使用します。
セッティング
- タオルのセッティング
ベッドシーツのあとバスタオルを敷きます。必要に応じて足枕なども用意します。 - 部屋の温度設定
トリートメントする部位を大きく露出しますので、体が冷えないよう、部屋の温度は高めに設定しましょう。 - トリートメントオイル・ティッシュやホットタオルなどの準備
トリートメントに必要なものは、あらかじめ、身の回りにおいておきましょう。
アロマトリートメントの基本手技
軽擦法(エフルラージュ)
皮膚に手のひらを密着させ、軽いタッチで行います。背中や下肢など幅広い筋肉のトリートメントに用います。軽くなでさすることにより静脈やリンパの流れ、全身の循環機能をよくし新陳代謝を高めます。
強擦法(フリクション)
圧を強めに入れさすりながら行います。強く圧を入れることにより筋肉の深部を刺激します。筋肉の張りや組織のこわばりをほぐし、組織の癒着をはがします。また、老廃物 の排出を促します。
ストレッチ
筋肉を伸ばし、筋肉の緊張を緩め、関節の可動域を広げ動かしやすくします。
揉捏法(ペトリサージュ)
筋肉をもみこねるように行います。手のひら、指腹を密着させ、圧を入れながら筋肉を動かします。血行を促進し、代謝を高めます。骨の上は圧をいれすぎないよう、注意します。
- 手のひらで揉む(手掌揉捏) 手のひら全体を密着させ揉みほぐします。
下肢、背部、腕に用います。 - 手の付け根で揉む(手根揉捏) 手根で揉みほぐします。
- 拇指柔捏
親指全体で揉みほぐします。
首などに用います。 - 二指揉捏(二指揉捏)
2指で挟むように掴みこねるように揉みほぐします。
指などに用います。 - 挟む、掴むように揉む(把握揉捏)
手のひらを密着させ掴むように筋肉を揉みほぐします。
上腕などに用います。
トリ-トメントしてはいけない場合とその理由
禁 忌 | 理 由 | |
1 | 血圧の高い人 | 施術後、頭痛や吐き気を起すこともある。 |
2 | 皮膚疾患が著しい人 | 摩擦で症状を悪化させる恐れもある。塗布は可能。 |
3 | 糖尿病の人 | 高血糖が長く続くと毛細血管が障害され、毛細血管を閉塞させる恐れがある。トリートメントでその可能性を高める。 |
4 | 急性の熱病などの急性疾患があるとき | 身体が変わろうとしている時に外から変化を加えてはいけない。 |
5 | 虫垂炎などの急性の炎症があるとき | 炎症が治ろうとする機序がある。 トリートメントによってそれを阻害する恐れがあること、また悪化させる可能性があること |
6 | 虫や蛇にかまれて急性の中毒があるとき | 毒が体中に回るのを避けるため。 |
7 | ガンや肉腫の悪性腫瘍があるとき | 転移の可能性があるため。 |
8 | 肺結核のとき | 同上。 |
9 | 梅毒、淋病、化膿性疾患のとき | 感染の可能性があるため。 |
10 | 吐血や脳出血などの出血性疾患があるとき | 出血がひどくなるため。 |
11 | 胃や十二指腸疾患などの潰瘍性疾患があるとき | 潰瘍から出血を起こす可能性があるため。 |
12 | 動脈瘤や動脈硬化症などの内臓性疾患があるとき | 静脈瘤と異なり、動脈瘤で死亡することもある。年齢が高い人(血管に弾力がないので)の動脈硬化は気をつけたい。 |
13 | 腎炎や心臓弁膜症などの血管性疾患があるとき | 血液がたくさん集まる臓器がり患しているときトリートメントは不向き。 |
14 | 骨折や脱臼のとき | 直後は腫れているのでトリートメントは不向き。 |
15 | 妊娠初期(4 か月まで) | 安定期に入る5カ月に入って体調の良い日に行う。背中、首、腕のみ、脚と腹はしない。 |
16 | その他重篤な病気があるとき | |
17 | 生理中(量が多いとき)は 腰、臀部、腹、脚はしない | 出血量が一過性に多くなり、腰が重たくなった感じがする。 |
注意
- 年配の方や痩せすぎの方へは組織に弾力がないので特にソフトに行います。圧迫したり、寝たり起きたりする動作で骨折することすらあります。急がせないよう留意します。
- 太った方は老廃物がうっ滞していることが多いので、オイルでトリートメントすると一過性にリンパ液や血液に老廃物の濃度が高くなって、頭痛や気持ち悪さを訴えることがあります。太った方へもソフトにトリートメントします。
※怪我や病気の方への施術はできません。(関係法規参照)
うつぶせ工程
うつぶせ1 下肢手掌軽擦
足枕を入れます。
足首からモモの付け根に向かって両手 を使いさすります。
うつぶせ2 足裏拇指揉捏
踵から指先に向かって親指で円を描きながらさすります。
うつぶせ3 足裏手根軽擦
踵を押さえ、踵から指先に向かってさ すり下ろします。
うつぶせ4 膝下手根揉捏
足首から膝裏まで円を描きながらさすります。
うつぶせ5 膝下母指軽擦
拇指を使い脛骨の後ろ側、脛骨と腓骨の間、腓腹筋の真ん中を足首から膝に向かってさすります。
うつぶせ6 膝下手掌軽擦
手のひらを密着させ膝裏までさすります。前側を触りながら足首まで戻ります。
うつぶせ7 膝裏母指揉捏
膝を曲げ、膝裏全体を拇指で円を描くようにさすります。
うつぶせ8 大腿部手掌軽擦
膝裏から臀部に向かって手掌で流します。
*内側、外側をしっかりとさすります。
うつぶせ9 大腿部鋸切状揉捏
両手でしっかり、モモを掴み膝下から
絞るよう揉みます。
うつぶせ 10 大腿部手根揉捏
膝裏から臀部に向かって円を描くように手根でさすります。
* 膝裏は軽くさすります。
* 反対の足も手順1から同様に行います。
うつぶせ 11 腰・背部手掌軽擦
臀部→肩→腋窩(わきの下)に向かってさすります。
* 背骨の際に沿ってさすります。
タオルの上から臀部を手根揉捏するのも良いでしょう。
うつぶせ 12 腰背部拇指軽擦
臀部から首に向かって脊柱起立筋の内側と外側をさすります。
*太陽膀胱経の内側と外側をさすります
うつぶせ 13 腰部鋸切状揉捏
反対側に立ち腰部を絞るように揉みます。
うつぶせ 14 腰背側部手掌軽擦
両手を交互に使い腰から和気の下まで大きく円を描くように擦ります。
両手を重ね脇腹を通り戻ります。
* 13、14が終わったら反対側も行います。
うつぶせ 15 腰・背部手掌軽擦
臀部→肩→腋窩(わきの下)に向かってさすります。
* 背骨の際に沿ってさすります。
うつぶせ 16 頸肩部手掌軽擦
襟足から肩の外側に沿って手掌でさすります。
うつぶせ 17 肩部拇指軽擦
拇指を使い、肩を外側に擦ります。
うつぶせ 18 頸部拇指揉捏
襟足から肩に向かって親指で円を描くようにさすります。
うつぶせ 19 肩部指骨軽擦
握りこぶしをつくり(基節骨で)首の付け根から肩に向かってさすります。
うつぶせ 20 襟足四指揉捏
襟足を四指で円を描くようにさすります。
うつぶせ 21 背部手掌軽擦
背部を外側に擦り、次の動作に移ります
うつぶせ 22 肩甲骨拇指軽擦
頭側または反対側に立ち腕を腰に乗せます。
- 上背部(菱形筋)を拇指でさすります。
- 肩甲骨の内側(肩壁)を肩から腋窩に向かってさすります。
- 肩甲骨の内側より肩峰に向かって(棘下筋に沿って)さすります。
うつぶせ 23 肩甲骨周辺手掌軽擦
肩甲骨を周辺から腰に向かって擦りながら移動し次の動作に移ります。
うつぶせ 24 腰・背部手掌軽擦
臀部→肩→腋窩(わきの下)に向かってさすります。
* 背骨の際に沿ってさすります。
タオルワーク①
うつ伏せから仰向けに移る際、お客様に失礼のないようにタオルを動かします。
(足枕を使用している場合は)
足枕を外します。
タオルワーク②
横向きにかけてあるタオルを上部に動かします。
タオルワーク③
縦のタオルを下方にはずします。この時、横向きのタオルが動かないように押さえます。
タオルワーク④
はずしたタオルは縦に二つ折りにし、肩にかけます。
タオルワーク⑤
側面からタオルを持ち上げ、お客様に仰向けになってもらいます。
タオルワーク⑥
タオルワーク⑦
肩に乗せていたタオルを足にかけます。
タオルワーク⑧
タオルをたたみ、片足を出します。
仰向け工程
仰向け1 下肢全体手掌軽擦
両掌を使い、均一にオイルを塗り広げます。
仰向け 2 足背面部(足の甲)手掌軽擦
足の甲を横方向に擦ります。
仰向け 3 趾のストレッチ
趾をつまみ、ゆっくり引っ張ります。
仰向け 4 足首のストレッチ①
足首を回します。
ゆっくり大きく回します。
仰向け 5 足首のストレッチ②
底屈と背屈をします。
仰向け 6 脛部手掌軽擦
手のひらを使い足首から膝裏まで擦ります。(内側と外側 3 回)
仰向け 7 脛部拇指軽擦
足首から前脛骨筋を数本に分けて拇指軽擦します。
仰向け 8 脛部手根揉捏
脛骨と腓骨の間、脛骨の内側を足首から膝に向かって円をかきながらさすります。
仰向け 9 膝蓋骨手掌揉捏
膝のお皿を両手で軽く押さえ、ゆっくり円をかきます。
仰向け 10 膝蓋靭帯軽擦
膝蓋骨を上下に伸ばすようにさすります。
仰向け 11 膝蓋靭帯手根軽擦
膝蓋骨を内側外側に広げるようにさすります。
仰向け 12 膝裏四指軽擦
膝裏を四指で引き寄せるようにさすります。
仰向け 13 大腿部手掌軽擦
膝下から足の付け根までさすります。
もも裏をさすりながら戻ります。
(内側、外側 3 回)
仰向け 14 大腿部手根揉捏
膝蓋骨の下から股関節に向かって円を描くようにさすります。
*内側と外側と満遍なくさすります。
仰向け15 下肢全体手掌軽擦
両掌を使い、足の甲から足の付け根まで軽擦します。もも裏、ふくらはぎを触りながらゆっくり戻ります。
仰向け 16 タオルワーク
施術する側のタオルを折ります。
仰向け 17 上肢手掌軽擦
手のひらで腕全体にオイルを塗ります。
片手で肩までさすり、両手を添えて手の甲まで戻ります。
仰向け 18 前腕拇指軽擦
手のひら側の真ん中(心包経)、手の甲の真ん中(三焦経)を拇指で擦ります。
手のひら全体を密着させ手首まで戻ります。(3 回ずつ)
仰向け 19 上腕手掌揉捏
肘から肩までを手のひらで円を描きながらさすります。
仰向け 20 上肢手掌軽擦
片手で肩までさすり、両手を添えて手の甲まで戻ります。